群島の日誌

フランスの展覧会感想や読んだ本の感想など。写真展と近代・現代アート中心の予定です。

2021-01-01から1ヶ月間の記事一覧

ギ・ド・モーパッサン『ベラミ』/ 「悪漢の種子」の成長譚

仏文50チャレンジ第2回の感想は、第10位のギ・ド・モーパッサン『ベラミ』(角川文庫、中村佳子訳)についてです。 前回『赤と黒』の感想はこちらから。 guntou.hatenablog.com 『ベラミ』は、パリでくすぶっていた主人公ジョルジュ・デュロワが、新聞社の記…

レン・ハン写真展「LOVE, REN HANG」/身を覆い隠すいちぢくの葉を取り除く

If life is a bottomless chasm, when I jump the endless fall will also be a way of flying ーもし人生が底なしの深淵であるならば、永遠の転落は飛翔にも成り得る もう2年近く前になるが、パリのヨーロッパ写真美術館(MEP)で中国の写真家レン・ハンの…

ステファヌ・ラヴエ写真展「Hent」/ブルトンの静かな祈り(2020年ベスト展覧会)

今年フランスは2回のロックダウンにより、展覧会やアートフェアは中止が相次ぎ、美術館は現時点でも人の集まりを避けるため閉鎖を余儀なくしている。 それでも、ロックダウンの合間に運良くタイミング良く訪れた中で、夏にブルターニュの港町で見たステファ…