群島の日誌

フランスの展覧会感想や読んだ本の感想など。写真展と近代・現代アート中心の予定です。

フランス文学ベスト50を全て読んでみるというチャレンジについて

前回、最初の投稿として『赤と黒』の感想を書いた。

これは去年あたりからゆるりと始めた「フランス文学ベスト50読破チャレンジ」に従って読んだものだった。

始めた理由は、この国をより知る手がかりになると思ったことと、あと読んだことのない作品、特に複数巻出ているような作品を読み通すには何か後押しになるような勢いが必要と思ったことだ。

 

参考にしたのは、こちらのサイト。Top des meilleurs classiquesなので、仏文学の古典・名作をさらに絞り込んだものだろうか。

 

www.senscritique.com

 

今見ると、私が確認した時から順位が若干変化している。参加者の投票等が随時反映される仕様なのかも。

順位の正当性についてはひとまず横に置いて、パッとみて知っているタイトルがそこそこ含まれていること、また「20世紀の〜」など時代限定ではなく、幅広く含まれていることを基準に選んだ。

あと、50冊ちゃんと読破するにはそこそこ楽しみの要素もないと難しいと思い、刊行年順ではなく、ランキング形式のリストを選んでいる。

 

去年確認した時点での順位を以下に表組みしてみた。(HTMLでテーブルを作ったんだけど、他に方法ないのだろうか・・・?) 

 

  タイトル 作者 刊行年
1 悪の華 シャルル・ボードレール 1857
2 レ・ミゼラブル ヴィクトル・ユーゴー 1862
3 異邦人 アルベール・カミュ 1942
4 危険な関係 ピエール・ショデルロ・ド・ラク 1782
5 星の王子さま アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ 1943
6 夜の果てへの旅 ルイ=フェルディナン・セリーヌ 1932
7 ボヴァリー夫人 ギュスターヴ・フローベール 1857
8 シラノ・ド・ベルジュラック エドモン・ロスタン 1897
9 赤と黒 スタンダール 1830
10 ベラミ ギ・ド・モーパッサン 1885
11 カンディード、あるいは楽天主義 ヴォルテール 1759
12 モンテ・クリスト伯 アレクサンドル・デュマ・ペール 1844
13 三銃士 アレクサンドル・デュマ・ペール 1844
14 日々の泡 ボリス・ヴィアン 1947
15 アンチゴーヌ ジャン・アヌイ 1944
16 失われた時を求めて マルセル・プルースト 1927
17 寓話 ジャン・ド・ラ・フォンテーヌ 1678
18 ジェルミナール エミール・ゾラ 1885
19 ゴリオ爺さん オノレ・ド・バルザック 1835
20 ノートルダム・ド・パリ ヴィクトル・ユーゴー 1831
21 ペスト アルベール・カミュ 1947
22 フェードル ジャン・ラシーヌ 1677
23 オルラ ギ・ド・モーパッサン 1887
24 スワン家のほうへ マルセル・プルースト 1913
25 死刑囚最後の日 ヴィクトル・ユーゴー 1829
26 ドン・ジュアン モリエール 1665
27 ボヌール・デ・ダム百貨店 エミール・ゾラ 1883
28 海底二万里 ジュール・ヴェルヌ 1869
29 居酒屋 エミール・ゾラ 1877
30 感情教育 ギュスターヴ・フローベール 1869
31 女の一生 ギ・ド・モーパッサン 1883
32 ル・シッド ピエール・コルネイユ 1637
33 ガルガンチュワ物語 フランソワ・ラブレー 1534
34 守銭奴 モリエール 1668
35 ランボー全詩集 アルチュール・ランボー 1895
36 静観詩集 ヴィクトル・ユーゴー 1856
37 幻滅 オノレ・ド・バルザック 1839
38 マルドロールの歌 ロートレアモン伯爵 1869
39 アンドロマック ジャン・ラシーヌ 1667
40 クレーヴの奥方 ラファイエット夫人 1678
41 パリの憂鬱 シャルル・ボードレール 1869
42 アルコール ギヨーム・アポリネール 1913
43 ロレンザッチョ ルフレッド・ド・ミュッセ 1834
44 あら皮 オノレ・ド・バルザック 1831
45 パルムの僧院 スタンダール 1839
46 獣人 エミール・ゾラ 1890
47 運命論者ジャックとその主人 ドゥニ・ディドロ 1778
48 グラン・モーヌ アラン=フルニエ 1913
49 八十日間世界一周 ジュール・ヴェルヌ 1873
50 テレーズ・ラカン エミール・ゾラ 1867

 

作家別に見るとエミール・ゾラが5作で最多、次点はヴィクトル・ユーゴーの4点、バルザックモーパッサンがその後に続く。

 

年代では19世紀の作品が29作と半分以上を占め、逆に『ローランの歌』など中世の作品はランク入りしていない。最も古い作品は、1534年刊行のフランソワ・ラブレー『ガルガンチュワ物語』、最も新しい作品は1947年刊行のボリス・ヴィアン『日々の泡』とアルベール・カミュ『ペスト』と、戦後以降の作品もほぼ含まれていないようだ。この辺は20世紀くくりのリストを探すのが良さそう。

 

さて改めてリストを見ると、『危険な関係』ってそんなに上なの?と早速疑問もあるが、むしろそういった発見が、ノートの隅に書き留めるメモ書きのように、余白を少しずつ埋めていく読み方・進め方ができればいいような気がする。

 

なんといっても最初の難関は16位の『失われた時を求めて』だろうか。以前に読んだ時、とりあえずマドレーヌのところまで読もうと思ったら、そこまでの道のりが既に険しくて、紅茶に浸したのを確認した瞬間、残りを読むモチベーションも融解してしまった。なぜか24位に『スワン家のほうへ』が単独でランク入りしているので、1巻ずつ読むのもありかもしれない。

 

あと『ガルガンチュワ物語』は「挫折した海外文学選手権」に見事入賞しているようなので、これも厳しい山となるだろう。

owlman.hateblo.jp

 

読書家の方であれば、50冊をどのくらいのペースで読むのだろう。1週間に1タイトルでも約1年はかかるのだから、そこそこの分量なのだろう。

情報量が多すぎてもはやガヴローシュ登場以前の物語を忘れつつある『レ・ミゼラブル』の感想を書くのもなかなか大変そうだが、まずは半分を目指して、ゆるく続けていきたい。

 

ちなみに今は10位のギ・ド・モーパッサン『ベラミ』を読んでいる。また、美男子が女性を利用して成り上がるストーリーが始まってしまい、Kindleを持つ手が震えている。

www.amazon.co.jp